【悩み相談】コロナ禍で失業、精神疾患を患い生活保護に 「働けない状況」に打つ手はあるのか
2022年06月04日 16:06
【悩み相談】コロナ禍で失業、精神疾患を患い生活保護に 「働けない状況」に打つ手はあるのか

 コロナ禍や物価高の影響で、生活保護の申請数は近年増加している。しかし、「生活保護バッシング」を気にして、生活保護を受けることに後ろめたさを感じる人も少なくない。元少年院教官という異色の経歴を持ち、『人生がクソゲーだと思ったら読む本』を上梓したVTuber「犯罪学教室のかなえ先生」のもとにも、生活保護に関する相談が寄せられている。様々な事情で働けない人は、その現実にどう向き合うべきなのか、かなえ先生が回答する。 【イラスト】相談に答えてくれたのは、日本初の元国家公務員の男性VTuber「犯罪学教室のかなえ先生」  さて、少し極端なことを言います。  そもそも、生活保護とは、私たちに人生が運ゲーであることを暗に示してくれている制度です。人生にランダム要素があるからこそ、運悪く最低限度の生活を送れなくなってしまった国民を国が保護するのです。世の中は様々な事情や背景を持つ人たちで構成されています。生まれつきハンデを抱えている人、コロナ禍のような誰も予測できない不運に見舞われてしまい突然生活ができなくなった人、働くことがそもそも難しい高齢者など……そういった人たちの人権を国が保障するためにあるのが、この生活保護なのです。  もっとわかりやすく説明すると、「その人がその人らしく生きるのに国が最低限の保障をする」というのが生活保護制度なのです。  一方で、生活保護の話題になると「働かざるもの食うべからず」ということわざを持ち出したり、「生活保護の財源となる税金を私たちは払う一方で彼らは免除されている!」と憤る人もいます。 「働かざるもの~」と主張する方は、きっと働いて稼いだお金で生活していることに誇りを持っておられるのでしょう。しかし、この世の中は相対的なもので、アナタが働けているならば、反対に働けない人もいます。また、由来となった新約聖書に登場する「働こうとしない者は食べることをもしてはならない」という一節も、あくまでも真面目な労働を奨励するものであり、働けない人は食事をとるなという意味は持っていません。  後者の支払う税金の不平等についての指摘も、それは国に文句をいうべき話であり、合法的に生活保護を受給して社会保険料や税金の一部が免除されている彼らを攻撃するのはお門違いです。 「みんなで生きる」ということには、コストがかかります。そして、それは国が決めたことです。嫌ならば、国から出ていけばよろしいかと思います。  はい、これで終わりです。  改めて勇気を持って相談を寄せてくれたアナタに言葉を送ります。  生活保護を受けていることにバツの悪さを感じてしまうのは、きっとアナタが真面目な人で、これまで真摯に周囲の人たちと付き合ってきて迷惑をかけてはならないという思いが強いからではないでしょうか。  ただ今回のアナタのように精神疾患にかかってしまい、今も働けないという状況は、アナタに問題があるわけではなく、誰のせいでもなく、ざっくりと運ゲーの罠(突発世界的疫病イベント)にハマってしまったということです。今はゆっくりと休んで英気を養ってください。どんな怪我でも安静にしなければならない期間が存在するのと同じように、今無理に働こうとして余計に症状が悪化してしまっては、アナタが嫌がる「社会に迷惑をかけてしまう」ことに繋がってしまいます。それでは本末転倒です。 「働かなきゃ」という気持ちが「働きたいな」と思えるようになってから動き出しても長い人生で見れば遅くないと思います。  誰かのおかげで自分がいる。自分がいるおかげで誰かがいる。  そんな前向きで温かい気持ちが、アナタの人生の冬を春に変えてくれるでしょう。 【プロフィール】 犯罪学教室のかなえ先生/元・法務教官(少年院の先生)で、日本初の元国家公務員の男性VTuber。2020年9月よりスタートしたYouTubeチャンネル『犯罪学教室のかなえ先生 V Criminologist』を運営。同配信には視聴からの悩みが多く寄せられ、それらに対する“愛のある辛口コメント”にも定評がある。経済産業省「未来の教室」プロジェクトのSTEAMライブラリーに学術系VTuberユニット「まなぶい」のメンバーとして教育コンテンツを提供するなど活躍の場を広げている。 ※犯罪学教室のかなえ先生・著『人生がクソゲーだと思ったら読む本~生きづらい世の中の突破術』を元に構成

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