
投稿した「歌ってみた」は120本以上!元気いっぱいのバーチャルシンガー「獅子神レオナ」インタビュー
獅子神レオナさんは、VTuber事務所「RE:AcT」に所属するバーチャルシンガー。2018年9月にデビューして以来、同事務所の中心メンバーの1人として精力的に活動を続けている。 ■【画像】新感覚のテレビアニメ!? 「でんでんの電脳電車」の画像■ YouTube上での活動としては、「歌」が占める割合が高い。既存の楽曲をカバーした、いわゆる「歌ってみた」動画が120本以上も投稿されているほか、ライブ配信で歌とトークを行う「歌枠」は230回を超えている(※2023年5月現在)。4年以上にもわたり、歌を主軸として、これほどの高い頻度で活動を続けているVTuberはそうそういない。歌に注力して活動を続けているレオナさんだが、やはり歌うことは昔から好きだったのだろうか。 「めっちゃ好きですね! ふと聞いた音楽をすごく好きになって、それをいつの間にか口ずさむようになって……みたいな感じかな。それこそ、あるアーティストの曲を好きになると、その人の昔の曲まで全部聴きたくなっちゃうタイプなんです。最近も結構古い曲を聴くことが多くて、歌枠で歌うと“懐かしい!”って言ってもらうのですが、自分からすると“最近覚えた曲なんだけどなー”みたいな(笑)」 本記事で初めて彼女のことを知った人にまず聞いてほしいのが、「紅蓮華」のカバーだ。2019年に投稿された比較的古い動画だが、その歌声を聞けば、当時すでに彼女が秀でた歌唱力の持ち主であったことが伝わるはず。人気曲であることを考慮しても、「563万」という再生数がその歌声に魅了された人の多さを物語っている。 ほかの歌ってみた動画としては、「ピースサイン(米津玄師)」「ヒバナ(DECO*27)」「Phamtom Joke(UNISON SQUARE GARDEN)」「クリスマスソング(back number)」などが、それぞれ200万回以上の再生数を記録している。こうして並べてみると疾走感のある男性ボーカル曲が多いように映るが、レオナさん自身は幅広いジャンルの楽曲を日常的に聴いているそうだ。 「音楽は普段から幅広く聴いているので、『よく聞くジャンル』というのは意外とないんですよ。YouTubeの音楽カテゴリーを開いたときに、一番上にある曲とかを聴いているので。ボカロだけじゃなくて、J-POPも聞くし、アニソンも聞きます。好きなアーティストは、絢香さんやゴールデンボンバーさんですね」 「(歌ってみた動画の選曲は)だいたい自分で選んでいて、ある曲を聴いたときに、“うわ、これめっちゃいいやん! これ歌お!”くらいの気持ちで決めることが多いかな。流行りの曲も歌いたくなるし、ちょっと前のボカロ曲やJ-POPは、ただ単に好きだから歌ってます。たとえば、『手をたたけ』は曲が好きだったから歌ってみたら、みんな“わ! 懐かしい!”って反応してくれて。“あ、そんな懐かしく感じる曲だったんだ!”と(笑)」 ロックやアニソンなど、「盛り上がるタイプの曲のほうが気持ちも上がるから歌いやすい」と語る一方で、「かわいい曲は苦手」とも話していたレオナさん。120本以上もの歌ってみた動画を公開しているなかで、特に思い入れのある動画はあるのだろうか。 「強いて挙げるなら、以前おすすめされて聴いた『Penguin’s Detour』ですね。すごく難しい曲で、聴いているうちに挑戦したくなっちゃって。“これ、絶対歌うぞ!”と思って、覚えるために1週間くらいこの曲しか聴いてない時期がありました(笑)」 「難しい楽曲に関しては事前にちゃんと覚えて、収録中もわからなくなったらすぐに聴いてチェックできるようにしています。“ここはできるだけ原曲に寄せたいな”とか、逆に“ここはちょっと変えたいな”といったことを、いつも聴きながら考えているので。普通に1曲を覚えるだけなら30~40分くらいあれば覚えられますが、歌ってみた動画のために収録する場合は、1週間くらいかけて聴き込むようにしています」 「歌」に軸足を置いた活動をしている一方で、レオナさんもほかの大勢のVTuberと同様に、ゲームの実況配信をたびたび行なっている。彼女のYouTubeチャンネルを見るとFPSゲームのタイトルが目立つが、他方では『モンスターハンター』シリーズが好きで昔から遊んでいたらしい。 「『モンハン』ならみんなで遊べるし。あとは“やるか、やられるか”のギリギリを楽しみたいんですよね。“2乙(※)してからが本番やー!”みたいな(笑)」 「武器は、普段はチャージアックスを使っています。ただ、基本的に1つには絞りたくなくて、太刀も使うし、スラッシュアックスも使うし、チャージアックスも使うし、ボウガンも使うし、狩猟笛も使うし――あれもこれも使いたくなっちゃうんですよね。そのたびに装備を作り直すのがちょっとダルかったけど、それもゲームの醍醐味かなと」 (※2乙:「乙」または「乙る」とは、モンスターに倒されて力尽きたことを示す、主に『モンハン』で使われるスラング。「2乙」は「クエスト中に2回力尽きた」ことを意味する。3回力尽きるとクエスト失敗となるため、2乙は「後がない」状態であるとも言える) また、レオナさんのゲーム実況と言えば、バトルロイヤルゲーム『Apex Legends』の腕前と大会での活躍ぶりも外せない。2020年から開催されている大会「VTuber最協決定戦 Ver APEX LEGENDS」には第1回から参加しており、チームで総合優勝した経験もある実力者だ。大会では「コースティック」というキャラクターを好んで使用している。 「『Apex』はリリース当日に知って、ちょっと遊んでみたらハマった感じですね。ちょうど最近、自分の昔のアーカイブを見返してみて、“なにやってんだこれ?”って思ってました。“こいつ、何が楽しくてこんな動きでプレイしてるんだろう”って(笑)」 「もう結構前の話ですが、その頃はめちゃくちゃ弱かったガスおじを助けるぞ! みたいな配信に参加したときに、“こいつ、めっちゃ楽しいやん”って思ったのが、コースティックを使うようになったきっかけかな。触ってみたら意外と楽しくて、“弱くてもこれ、めっちゃおもろい”ってなって……今はもう愛着がわいちゃってますね」 2023年4月にスタートしたアニメ『でんでんの電脳電車』。先日、ポニーキャニオンからメジャーデビューしたVSinger・ユプシロンさんをはじめ、人気VTuberが「本人役」で登場する3Dショートアニメだ。 レオナさんは本作にメインキャストの1人として出演しつつ、オープニング曲の歌唱も担当している。元気いっぱいの歌声で幕を開けるオープニングジングルと、アニメ本編でのツッコミ役としての立ち回りで存在感を発揮しているが、演技で心がけていることなどはあるのだろうか。 「多分、一番声を張らないといけないポジションだったので、“どういう声の張り方をしたらいいんだろう?”という部分は結構気をつけながら収録してたかな。声を張りすぎるのも違うだろうし、ちょうど良い塩梅を探して……でも、“ツッコミ”ってふとした時に出るものだから、最初はあまりピンとこなくて、“本当にこれで合ってる?”ってなってました」 アニメでは自然な演技でツッコミをこなしているようにも映っていたが、これまでに演技の経験らしい経験はなかったという。監督からの「普通でいいよ」という指示もあり、どちらかと言えば自然体で収録に臨んでいたそうだ。 「セリフを覚えるのが一番大変でしたね……! 歌の収録とかでも、どちらかと言えば歌詞を見ながら歌いたいタイプなので。“そんな長いセリフ、覚えられないよー!”みたいなことを一生言ってた気がする」 「収録現場では結構、みんなでふざける場面もあったかも。隣の人にめっちゃぶつかったりしちゃって、“あ、ごめーん!”、“もう1回撮り直すか!”みたいな(笑)。全体的にゆるい雰囲気で、ちょっと失敗したはずのカットがそのまま使われたり、台本にない言葉を喋ってしまったセリフが採用されたりしたこともありました」 アニメ『でんでんの電脳電車』は、毎週水曜日の深夜1時35分からCBCテレビにて放送中。TVerやAmazonプライム・ビデオなど各種配信サイトでも見ることができるので、気になった人はぜひチェックしてみてほしい。 今年、活動5周年を迎えるレオナさん。これまでにワンマンライブを3度開催したことがあるほか、2022年末には所属事務所・RE:AcTの大型ライブにも出演。ほかにも複数の音楽イベントに出演してきた実績を持つ、注目のバーチャルシンガーの1人だ。順調に活躍の幅を広げつつある彼女に、今後の目標を聞いてみた。 「何か大きな目標を掲げるよりは、“毎日楽しむ!”みたいなタイプの目標のほうがいいかな、とデビュー当初から思っていて。大きな舞台に立てたらもちろん嬉しいけど、それよりは毎日楽しく活動することを、ずっと目標としています。あとは“リスナーさんとの交流の場が増えたらいいな”とか、意外とリスナーさんに海外の人が多いのもあって、“英語も勉強したいな”とか。英語は勉強しているはずなのにまったく身につかないので、“勉強法を間違えているのかも……?”って最近ちょっと不安になってますね(笑)」 生活環境の変化や、メンタルの不調、運営企業の事業撤退などによって、この世界を去ってしまったVTuberは少なくない。そんななか、5年近くもコンスタントに活動を続けてきたレオナさんが語る「楽しむ」ことの重要性は、シンプルながら重みがあり、説得力のある言葉であるように感じられた。 とはいえ、大勢の目に触れる機会の多いVTuber活動においては、モヤモヤするような出来事があってもおかしくはない。ネガティブな感情に振り回されず、長期間にわたって「楽しむ」ための秘訣はあるのだろうか。 「あまり変に考え過ぎないようにはしていますね。もともとそういうタイプだった、というのもあるんですけど。最初は“ネガティブにならない”ということも意識してたけど、“そもそも私、ネガティブになることってないや!”と思って(笑)」 「それと、“リスナーさんに心配をかけないようにする”ということは意識しています。“体調が悪い”とかも別に言わないし、『言わなくても勝手に治るやろ!』って思ってるので(笑)。たまに言うとしても、おもしろおかしく言うようにしてるかな。実際、変な怪我の仕方をすることが多いんです。“怪我したんだよねー”とだけ言うと、みんなも“大丈夫?”って心配になると思うんですけど、その時のおもしろおかしい状況を説明すると、“草”、“笑った”ってコメントをもらえて、楽しい雰囲気になることが多いんですよね」 自身が「楽しむ」ことを第一に考えているからこその配慮であり、VTuberとして活動している今この瞬間を、周囲の人と一緒に楽しもうという前向きな気持ちが伝わってくる。では、そのような目標とはまた別に、この先の未来で実現したい夢はあるのだろうか。 「“主題歌を歌いたい”という気持ちはあります! 自分が出ていないアニメやゲームで、オープニングやエンディングを歌ってみたいなーって。やっぱりああいうのって、歌で活動をしている人からしたら大きな目標だったりするじゃないですか」 「ライブに関しても、“少しずつ大きなステージでライブをやれるようなる”っていうのはもちろんだけど、自分のことを好きな人たちがライブに来て、リスナーさんたち同士でも交流ができて、そういう輪が広がっていったらいいな、ということは以前から考えていました。すでに叶っているとも言えますが、それがもっと広がればいいな、とは思いますね」 そんなレオナさんは、6月に4thライブ「言の葉」の開催を予定している。今回は初めて昼公演と夜公演の二部制になっているということで、ライブの見どころを聞いてみた。 「一番の見どころは、新しい曲を披露すること。あとは二部制になっていることですね。昼と夜とではまったく違うタイプのライブになってるので、好きなほうを選んでもらえたら。昼は、みんなで声を出して盛り上がるタイプかな。夜は真逆で、バラード中心なので、みんなゆったり聴けるんじゃないかなと思います」 「この記事で初めて私のことを知る人もいると思うので、少しでも興味をもってもらえたら嬉しいです。好きになってくれた人は、これからもめちゃくちゃ楽しませたいと思っているので、よろしくお願いいたします!」 この先もきっと、元気いっぱいの歌声を届け続けてくれるだろう、獅子神レオナさん。本記事で彼女のことを初めて知った人は、まずは歌ってみた動画の再生リストから気になる動画を開いて、実際に歌声を味わってみてほしい。オリジナル楽曲も要チェックだ。
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