
就活で「学歴フィルター」がなくなり経験重視になれば“もっと悲惨なこと”になる
就職活動では大学名などでふるいを掛ける「学歴フィルター」があるといわれている。その存在を公言する企業はないものの、毎年のように学歴フィルターが話題となり、書類選考の段階で“門前払い”されることに不満を抱く就活生もいるようだ。では、学歴フィルターがなくなれば、よりフェアな採用が実現するのだろうか。近著『人生がクソゲーだと思ったら読む本』が話題の、元少年院教官という異色の経歴を持つVTuber「犯罪学教室のかなえ先生」が、実際の相談に回答する形で、学歴フィルターとの向き合い方について解説する。 【画像】相談に回答してくれたのは、日本初の元国家公務員の男性VTuber「犯罪学教室のかなえ先生」 皆が憧れる大企業だと何千、何万人と応募者が集まってしまい、今度は採用側の負担が大幅に増えて、丁寧な選考が難しくなってしまいます。利益をもたらす優秀な人材を獲得するための採用活動なのに、就活生の見極めにコストがかかりすぎるのは本末転倒です。 ちなみに、『就職白書2020年』によると、2020年新卒採用における1人あたりの平均採用コストは約94万円でした。採用する側も非常にお金をかけていることがわかります。 ここでもう一度相談内容に目を移してみましょう。もしも、「学歴ではなく経験などを重視するべきだ!」と社会が変わってしまうと、どうなるのか? 私がもし経済的に豊かな家庭で子どもを育てているならば、幼少期から海外に留学させたり、休日はボランティア活動に連れていくなど、持てる資本をフルに活かして子どもに様々な経験をさせてあげると思います。 大学に入学することができたら、親(自分)のお金でNPO法人を設立させ活動させてみたり、有名企業役員とバンバン会食させてコネを作らせてあげると思います。 これは、家庭にお金があるからできることです。 一方、経済的に苦しい家庭環境の場合はどうなるでしょうか? おそらく貧困家庭出身者が、親の課金で経験値武装した上流階級出身者たちにオーバーキルされる光景があちこちでみられるようになるでしょう。 これは冗談や空想の仮定の話ではありません。実際にアメリカの大学入試の現場などで起こっていることで、子どもにお金をかけることのできる富裕層の子どもほど入学が有利になっています(ぜひ調べてみて欲しい!)。 この現実を知ると、実は日本の学歴重視選考はまだマシな選考方法と言えます。 学歴フィルターはクソゲー特有のバグではなく、育ちの資力がなくとも学歴を獲得できれば生活環境を好転させるチャンスを得られるという優しい仕様なのです。
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