アンドロイド研究の石黒教授が描く「未来の生産工場」、意外すぎるロボットの役割とは
2022年06月02日 06:06
アンドロイド研究の石黒教授が描く「未来の生産工場」、意外すぎるロボットの役割とは

 バブルが弾けてから長い暗闇の「失われた30年」を経て、モノづくり大国と言われた日本のメーカーは未だに低迷し、明るい兆しが見えないままだ。これから日本の製造業はどこへ向かうべきなのか。未来の製造業の姿について、人間そっくりなロボット(アンドロイド)開発の第一人者として知られる、大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻教授で、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)フェローの石黒浩氏に話を聞いた。 【詳細な図や写真】未来の工場について語る石黒氏  工場で働く人が喜びや生きがいを感じられるようになると、賃金がそれほど高くなくても働き続けたいと考えるようになるかもしれません。そもそも、我々は何のためにお金を稼ぐのでしょうか。昔は家や自動車を買って、生活を豊かにするために働く人が大勢いましたが、現代の若い世代はそうしたことを目的としていない傾向があります。  特に「Z世代」と呼ばれる若い層は、生まれたときから携帯電話やスマートフォンもあり、SNSでつながった友達を大事にしています。「お金は手段であって、目的ではないこと」をよく理解しているのです。お金がいくらあっても、つながりがなければ人は生きている意味がありません。また、若い世代の消費行動を見ても、商品の奥にいる企業や人を見て判断する傾向があります。  そうした変化を見ていると、今の時代は昔に比べて価値観が研ぎ澄まされているように感じます。昔は手段にこだわり続け、必要もないのにお金を貯めることに必死になってきました。それが問題だったと考えています。  製造企業は、そうした若い世代の価値観の変化を捉え、工場の在り方や商品提供の在り方を変えていく必要があるかもしれません。

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