
スポーツ推薦で難関大学に合格、「勉強ができなくても高学歴」に納得できるか
大学入試においては、基本、学力が合否を左右するが、スポーツ推薦やAO入試などを設けている大学もあり、多様なバックグラウンドを持つ学生が入学できる。そうしたなかで、一般入試を突破した学生の中には、スポーツ推薦などで入学した学生に対し不公平感を覚える人もいるようだ。元少年院の教官という異色の経歴を持つVTuber「犯罪学教室のかなえ先生」のもとにも、そうした相談が寄せられている。近著『人生がクソゲーだと思ったら読む本』が話題のかなえ先生が回答する。 【画像】相談に回答してくれたのは、日本初の元国家公務員の男性VTuber「犯罪学教室のかなえ先生」 たしかに世間的には、スポーツ推薦やAO入試を経て入学した学生は、一般入試を経て入学している学生と比べて少ない勉強量で入学できるとされていますが、アナタにわかって欲しいのは、スポーツ推薦やAO入試に合格して入学した人も、アナタと同じように見えないところで頑張った結果、大学入学を許可されているということです。 難関私立大学に在籍されているとのことですが、一般入試で合格していようが、スポーツ推薦だろうが、AO入試だろうが、どんな方法で合格していようと皆同じく「入学を許可された人である」以上の意味を持つことはありません。 にもかかわらず、アナタはもう過去となった「どうやって合格したのか」を持ち出し、「あいつは温情をもらっている」と不平不満を持ってしまうわけですよね? 不公平に感じているならば、学校に異議や苦情を申し立てれば良いのです。 納得できない制度を許容している学校への不満ならまだしも、スポーツ推薦やAO入試制度を経て入学してきた彼らに対して、アナタ自身の欲求不満の矛先を向けるのはお門違いです。これははっきり言わせてもらいます。 まず、アナタはありのままの自分を自身で認められるように心を入れ替え、自分の周りには自身と異なるバックグラウンドを持っている他者がいることを認識しましょう。 これは私の個人的な助言ですから、受け入れることまでは強制しません。嫌いな人や苦手な存在があるのは仕方ありません。……ただ、存在は認めましょう。 大学はどうしてAO入試やスポーツ推薦を導入しているのかの話にも繋がりますが、建前としては学力以外に秀でた才能を持つ人材に対しても大学の門戸を開き、学生の多様性を確保する目的があったりします(もちろんそれ以外にもありますけどね)。 既婚者の人、障害のある人、裕福な学生、貧しい学生など様々なバックグラウンドを持った人材が大学には集まっています。歴史的に見ても、多様な才能が大学という場所に集結することで、学術の発展や知の創造が行われてきたのは明らかです。 アナタが学生の多様性に気づけていないのは、それは自分で見ようとしていないからでしょう。それくらいに今のアナタの視野は狭く、自分が原因で生み出したモヤモヤをどうにもできないので、他人のせいにして勝手に不満を持っている。少しは省みるべきです。 就職の話も、たしかに運動部は就職に有利かもしれません。これは私も学生時代によく耳にしていましたし、実際に運動部は就職に有利だったような気もします。 ただ、実際にそうだとしてもどうすることもできません。 「ウチはウチ、ヨソはヨソ」のスタンスを持ち、そういう人もいるのだと認識した上で自分も負けないように頑張ろうと前向きに学生生活を送って欲しいです。 周りを下げるのではなく、まずは自分を上げるところから頑張りましょう。 周囲を見下しても、アナタ自身が成長することはありません。今アナタが築いている地位は、間違いなくアナタ自身の手で切り開いてきたものです。だから自信を持って、これからの大学生活を有意義なものにしてください。 応援しています。厳しいこと言ってごめんなさいね……? 【プロフィール】 犯罪学教室のかなえ先生/元・法務教官(少年院の先生)で、日本初の元国家公務員の男性VTuber。2020年9月よりスタートしたYouTubeチャンネル『犯罪学教室のかなえ先生 V Criminologist』を運営。同配信には視聴からの悩みが多く寄せられ、それらに対する“愛のある辛口コメント”にも定評がある。経済産業省「未来の教室」プロジェクトのSTEAMライブラリーに学術系VTuberユニット「まなぶい」のメンバーとして教育コンテンツを提供するなど活躍の場を広げている。 ※犯罪学教室のかなえ先生・著『人生がクソゲーだと思ったら読む本~生きづらい世の中の突破術』を元に構成
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