
グリー傘下の「ベンチャー投資会社」が陥った袋小路、親会社との対立で新規ファンド組成に難航か
若手のキャピタリストが次々に流出している――。 あるVC(ベンチャーキャピタル)をめぐり、2022年の半ばから後半にかけて、スタートアップ業界で一つの情報がかけめぐった。話題の中心となったのはSTRIVE(ストライブ)、業界では有数の運用パフォーマンスを上げていることで知られるVCだ。 【図表】事業会社から独立を目指すVCファンドが増えている 2023年3月に上場したVTuber関連事業を行うカバーや、2020年12月に上場したロボアドバイザー事業を行うウェルスナビなど、さまざまな案件に投資実績を持つ。創業前後のシードステージから、事業が軌道に乗るまでのアーリーステージのスタートアップを中心に支援し、投資家としてリスクを取る分、出資比率が高くリターンも大きい。 つまずいたのは、4号目となる新規ファンドの組成だ。会社側は詳細を明らかにしていないが、関係者の話を総合すると、2022年半ばにストライブの中でまとまりかけたファンド組成計画が親会社の意向で白紙になったという。その時点で冒頭の通り、若手キャピタリストの流出が始まった。 VCの投資サイクルは近年、ファンドの組成から組み入れと呼ばれる投資の割り当てを経て、3年に一度のペースで後続ファンドが組成されるケースが多い。ストライブの3号ファンドは2019年に組成されており、2022年は4号目を立ち上げるべきタイミングだった。 2022年の半ばは、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が27年ぶりとなる0.75%の大幅利上げを決め、スタートアップの資金調達環境が激変したタイミングでもある。「マクロの経済環境が悪く、幅広い投資家から資金を集められなかった」とストライブ関係者は話す一方、「あれだけ良好なパフォーマンスを出しているVCなら、外部の投資家も集めやすいのではないか」(VC関係者)とみる向きもあり、真相は定かではない。 デジタルホールディングス傘下のVC子会社、Bonds Investment Group(通称BIG)では、2022年8月にパートナーの2人が独立。似たような社名のBIG Impactという会社を立ち上げた。ただ当初目指していた150億円規模のファンド組成がうまくいかず、現在は単独での組成を断念している。 BIGとBIG Impactに対し、独立の経緯や互いの関係などについて質問したが、両社ともに「コメントを差し控える」との回答だった。
東洋経済オンライン