
元ギャル男社長が渋谷のストリートで学んだ日本一のビジネスモデル。“年収1000万円の店舗スタッフ”を誕生させるためにブラック職場のアパレル・小売り業界に起こした革命
EC(ネット通販)の台頭、人手不足、地方の過疎化などの影響で、百貨店や商業施設、ブランドの路面店など、リアル店舗の統廃合が急ピッチで進んでいる。(前後編の前編) 【画像】元ギャル男社長の小野里寧晃さん 大前 中国では個人インフルエンサーが自宅などから発信して、あっという間に大量にモノを売ったり大金を稼いだりしていますが、バニッシュのスタッフスタートは、お店を拠点に店舗スタッフが発信をしている。本人の知恵と努力に比例して収入を増やすことができるモデルは、すでに生命保険などの営業職にはあるし、社長以上の稼ぎをもらっている人もいる。でも、デジタルを活用してアパレルや小売りの店舗というある種、閉じ込められた場所から収入が増やせるというのは前例がありません。 小野里 スタッフの投稿を通じて、どれだけ売り上げに貢献しているかを可視化しました。そこで個人、あるいは店舗に対して、インセンティブをつけたり、評価制度につなげるように働きかけたりもしてきました。 大前 僕はビジネス・ブレークスルー大学や、オンラインでMBAを取得できる大学院を経営していて、今でいうリカレント教育をしている。例えば、事情があって高校までしか通えなかったけどすごく優秀な女性は、現場を知らなくてもフロアマネジャーになってしまう大卒の男性の下で冷遇されることが多々ある。僕は「寝首をかけ!」とハッパをかけている。オンラインで卒業資格を取れたら出世もできるようになるし、そういう報告を受けると、気持ちが良くて仕方ない。 「あなたの努力で人生を変えていける」。これが、バニッシュの事業の他との一番の違いだし、この観点から事業を組み立てた人は日本には今までいませんよ。 小野里 本当ですか。うれしいです。 小野里 OMO(オンラインとオフラインの融合)の単なる手段ではなく、もっと本質にリアル店舗の価値を高めて、店舗スタッフの活躍の場を広げて、それによって売り上げを伸ばし、企業をサポートする。そして、年収1000万円の店舗スタッフを誕生させたい、というのが僕の思いなんです。それにしても、大前さんから「にじさんじ」の名前を聞くとは思いませんでした。 大前 僕は面白い会社を見つけたら、すぐ調べるし、とことん追跡する。日本では、テレビショッピングやジャパネットたかたとか、通販生活など、昔売れた俳優さん、女優さんが登場して、その活躍を知っている世代の高齢者が購入するというビジネスモデルがすごく調子がいい。中でも通販生活はユニークだ。通常のカタログ販売は、カタログ到着後、 注文の電話は48時間に集中する。けれども、通販生活は面白い読み物があり、トイレに置かれたり長く手元に置かれるから、1か月間注文が入る。まれにみる物語性があり、売れていた女優、俳優が出てくる。売られているものは僕からしたら物足りないけれど、仕掛けは面白いよね。 もう一つ、僕らの勉強会「向研会」の仲間でもあるけれど、50代以上の女性をターゲットにした「ハルメク」も素晴らしい。お客さまの悩みをディスカッションし、それを商品開発につなげていく。一番の関心事は尿漏れだという。通販生活なら書けないけど、自分たちでリアルに話し合い、解決策を探り、商品開発を始める。すると、アパレルや薬・サプリメントなどのメーカーが提案をしてきたりする。これだけ雑誌が売れないといわれる時代に逆行し、発行部数が60万部に達して広告も殺到しています。
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