ハスキーな歌声に乗せた「パワー」 にじさんじ随一の努力家、レヴィ・エリファの“叫び”は鳴り止まない
2022年03月25日 12:03
ハスキーな歌声に乗せた「パワー」 にじさんじ随一の努力家、レヴィ・エリファの“叫び”は鳴り止まない

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。 【動画】レヴィ・エリファ「ハーフ・エルアール」(オリジナル楽曲)  メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ2年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。  元1期生がデビュー5周年を迎え、彼らを筆頭に現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与えるだろう。  今後しばらくのあいだ紹介していく30~40名のメンバーは、にじさんじ始動から2年目にあたる2019年2月8日以降にデビューしたメンバーだ。現在のにじさんじのなかでも主軸を担う、重要メンバーが揃っている世代でもある。  今回紹介するレヴィ・エリファは2019年5月17日に初ツイート、5月21日にYouTubeで初配信をおこない、デビューした。前回紹介したエクス・アルビオとは同期の間柄である。  魔物と人間の間に生まれた亜人として愛されており、白銀のショートヘアにねじれたツノとすこしボーイッシュな雰囲気のレヴィ。自身の性別については、本人が「雌」であると答えているので、原稿内では「彼女」と表記させてもらう。  そのビジュアル・背格好からは想像できないかもしれないが、デビュー当時の年齢は5歳(2023年現在は9歳)だ。SNSでの投稿では「○○でス」「○○だネ」といったように、ところどころで文章にカタカナが混ざったり、会話中の発音もどこか甘い部分があったりと、「子供っぽい」一面を見せているのも確かである。  そんな彼女が持つ最大の魅力といえば、その“声”にあるだろう。かすれ気味でハスキーな声色でありつつ、声が大きいこともあってか独特な聴き心地を受ける。  配信者やストリーマーとして活動する者にとって、声質はとても重要な要素になる。さらにいえば、生配信を見るひとにとっては、ひょっとすればビジュアルと同じか、それ以上に大切な部分であろう。  そんな人を惹き付ける特徴的な声を、彼女はこれまで歌に活かしてきた。大きな声量でパワフルに歌うことも、ハスキーな声色と弱弱しい発声で繊細さをもって歌うこともできる、大きな振れ幅をもった魅力的なシンガーとして評価を高め、にじさんじ屈指の歌姫の1人として彼女を挙げるファンもいる。  配信活動において彼女が得意とするのは、もちろん生配信で歌唱を披露する“歌枠”だ。これまで配信してきた歌枠は160回を超えており、歌動画についても30曲以上の動画を投稿している。それでいて、単に歌うだけの配信でなく、「辛いものが好き」ということも相まって「『ペヤング獄激辛』を食べながら歌を歌う」という、ハッスルした“ネタ歌枠”をおこなうユーモアもある。  レヴィに注目が大きく集まったのは、時期でいえば2021年7月であろう。この月の16日、自身の念願であった3Dビジュアルのお披露目配信をおこなうと、31日には『にじさんじ AR STAGE "LIGHT UP TONES"』DAY1に、それぞれ出演した。  3Dお披露目配信においても、もちろん歌唱を披露したレヴィ。自身のオリジナル楽曲「ハーフ・エルアール」を皮切りに始まり、2曲目となるオリジナル曲「GIVER」もここで初披露。トロッコに乗っかってステージをぐるりと一周してみたり、生バンドを招聘してのライブパフォーマンスをしてみたりと、かなり大がかりな3Dお披露目配信となった。  『"LIGHT UP TONES"』ではデュエット歌唱を含めて「逆光のフリューゲル」「ANIMAる」など3曲を披露。なかでも「カワキヲアメク」のパフォーマンスは特筆すべきもので、声の抑揚をうまくつけた抜群のボーカルをみせつけた。  それだけでなく、現在にじさんじのライブ公演で使われているAR表現や映像演出が、このタイミングで初めて披露されたこともあり、歌声も相まって生で見ていた観客らを圧倒するほどのインパクトを持っていた。  このパフォーマンスは、その後発売されたBlu-rayには残念ながら未収録となってしまったが、嬉しいことに後日レヴィ本人のYouTubeチャンネルから、この日のライブ映像が公開されている。  レヴィはにじさんじのオーディションを受けたときから「いつか大きなステージでライブがしたい」とずっと口にしてきており、数年に渡っての歌配信・動画でファンの期待値もかなり高まっていた。そんななかで、この2度のパフォーマンスで期待をはるかに上回るパフォーマンスを見せてくれたのだ。  後の2022年6月には声帯結節の手術をうけ、無事に退院した。術後には、それまで出せていなかったであろう高音が一発で出せるようになったことをアピールした。  「ボクは、それまで歌以外のことをあまりやってこなかったので、初めてやるようなことがすごく多かったんです。リスナーの皆さんとトークしたり、ゲームをやったり、常に新しいことにチャレンジしている」  インタビューでハッキリとこのように口にしているレヴィ。彼女のゲーム配信や企画配信を見ていると、にじさんじの同僚らの多くにみられる「内気」「陰キャ」な一面は感じられない。どちらかといえば、歌声にも活かされる通りの良い声で無邪気に話す姿が多く見られる。  同期のエクス・アルビオほどではないにしろ、多人数の配信では会話のアクセント役となることも多々あり、「体を張る」ことも厭わないエンタメ精神も持ち合わせている。また、声に特徴があるということもあり、大袈裟なリアクションを取ると迫真さが増して伝わっていくこともままある。  また先輩・後輩らからたまに漏れてくるエピソードや、彼ら・彼女らとのやり取りからは、レヴィの人当たりの良さや心優しい性格が見えてくると思う。  レヴィは歌枠だけでなく、ゲーム実況もほかのにじさんじメンバー同様におこなっている。デビュー当初こそ、ほかのメンバーとくらべればゲームスキルや経験値がそこまであるタイプではなかったが、『Minecraft』や『ARK: Survival Evolved』といった、にじさんじ内のメンバーが多く参加するゲームも積極的にプレイしており、ゲーム自体への苦手意識があるわけではなく、むしろ楽しんでいることが分かるだろう。  当初は拙かったゲームのプレイスキルも年々向上しており、アクションアドベンチャーゲームの王道『ゼルダの伝説』シリーズや『スプラトゥーン』といったアクションゲームも難なくプレイできるほどに成長している。  そんな積極性から、ほかのライバーと交友が深まったというエピソードをご紹介しよう。レヴィのゲームへの嗜好性として顕著なのが、ホラーゲームが好きということ。これまでに『Phasmophobia』『SILENT HILL』『SIREN』『リトルナイトメア』シリーズなどをプレイしている。特に『SIREN』に関しては世界観そのものを愛しており、公式解説本も持っているほどのファンだ。  月ノ美兎が『SIREN』の実況配信をした際にはコメントからアドバイスを送っており、その後通話を繋げてのコラボ配信へと発展。その後に公式番組にともに出演したり、プライベートで遊びに行ったりと、まさしく「ゲームから深まった仲」といえる繋がりとなった。  これに留まらず、個人VTuberとして活動している天開司に間違って送ってしまったツイートがキッカケとなり、ホロライブ所属の白上フブキ、長年配信活動を続けてきたガッチマンVという、ホラーゲーム大好きな2人をも巻き込んだ『BANトーーク SIREN大好きVtuber編』と題したコラボ配信へと発展した。  『SIREN』好きが高じて、『Minecraft』内で『SIREN』の世界を再現すべく、ゲームに登場する「羽生蛇村」を建築していた時期もある。すると、建築配信をしていたところに『SIREN』の主人公・須田恭也役を演じる篠田光亮からコメントが投稿され、レヴィ始めリスナーも含め大盛り上がり。その後も須田が度々コメントを投稿するなど、これもまた「ゲームから深まった仲」といえるだろう。  また、音楽やゲームとは違ったサブカルチャーの嗜好性として挙げられるのは、ボーイズラブ(BL)作品への造詣が深いという点。この手の話題において、にじさんじ随一の識者としてファンにも知られている鈴鹿詩子とともに“BL愛”を語りあい、互いの見解・認識を通じて楽しみ合うこともあった。  「1人のシンガー」としての一面だけでなく、なにごとにも積極的でオープンな性格、どこか深みのある嗜好性を持ち合わせているレヴィ・エリファ。こうしてみると、なぜ彼女がにじさんじに合格できたのかが何となくわかってくる。  強烈な個性だけでなく、日々の活動のなかで細かく見受けられる嗜好性は人の目を惹きつけ、なにより歌・ゲームともに「自身を高めよう」と努力できる根気強さ・勘の良さもある。そんな彼女が今後どのような足跡を残していくか、要注目である。

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