
にじさんじ・雪城眞尋は“愛し、愛される” リスナーを魅了する、あふれる“事務所愛”を抱いて活動する姿
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。 【動画】STAND BY ME/雪城眞尋-2nd Original Song メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ2年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。 元1期生がデビュー5周年を迎え、彼らを筆頭に現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与えるだろう。 今後しばらくのあいだ紹介していく30~40名のメンバーは、にじさんじ始動から2年目にあたる2019年2月8日以降にデビューしたメンバーだ。現在のにじさんじのなかでも主軸を担う、重要メンバーが揃っている世代でもある。 アンジュ・リゼ・戌亥のさんばか、三枝・愛園の紅スワイガニに続いてデビューすることになったのは、現在は卒業してしまった鈴原るると、今回紹介する雪城眞尋であった。 彼女がTwitterをスタートしたのは2019年4月29日、YouTubeの初配信は5月1日。この日付を覚えている方も多いかとは思うが、この2019年4月から5月にかけての期間はちょうど年号が平成から令和へと変わるタイミング。雪城眞尋は「平成最後で令和最初のにじさんじライバー」なのだ。 水色の髪色と瞳の色と人懐っこい笑顔がトレードマークの雪城。身長は152センチと比較的小柄であり、3Dボディでステージに立ってみると高身長がズラっと並ぶ同僚らのなかで逆に目立ってしまうほどである。加えて雪城はデビュー初期と現在とで声の高さやトーンが変わっており、デビュー当初はいまと比べると柔らかめな印象を与える声で話していたが、現在はより低いトーンで、やや中性的にも感じられる声でハキハキと話している。 そんな彼女の性格はというと、口調・声色・言葉選びだけでなく、話す内容も本人・リスナーともに胸襟を開いてサバサバとした口調でやり取りをすることが多く、リスナーや同僚らにも強く当たれるタイプだ。配信中に届いたコメントにも冗談を挟みつつストレートな物言いで返事をすることが多く、ハッキリと自分の意見を述べるタイプと言えよう。 2022年8月18日にアクシア・クローネが活動休止をアナウンスしたあと、配信内で雪城は以下のように話をしている。この当時、アクシアが活動を休止した理由にまつわる議論や意見表明がSNSを中心に散見されており、雪城がこの話題に触れるのにはかなりの勇気が必要だったであろう。それでも勇気を出して表明された考えには、コメント欄・リスナーからも賛同の意見が示されていた。 「わたしは女性だし『かわいい』と言われがちだし、言ってくれることに対しては嬉しいとは思う。ただ『なにをしててもかわいい』と言われるのは、女性ライバーでもキツイ。前になにか言葉がついて『〇〇してるのがかわいい』だといいけども、単に『かわいい』だけでそれしか言われなくなると、「ほかに言うことがないから言ってるのかな?」ってなるし、寂しくなっちゃう。どんな配信をやっていても同じことだけ言い続けられると、『書けるコメントが無いくらい自分に魅力が無いのかな?』と不安になると思う。わたしが実際そう」 「限界化すると語彙力が無くなるのはオタクなのでしょうがないんですけどね。アクシア君の話しをちょこちょこTwitterで見かけたので、伝わる人にだけ伝わってくれれば良いなと思って話をしました」 実際のところ、彼女自身もオタク的な気質が強くあるタイプであり、ファン側の目線に立ったり心境を察することも多い。それに、雪城がにじさんじの門を叩いたキッカケは、もともと彼女自身が樋口楓のファンであったことからだ。2019年1月12日に開催された樋口のファーストライブ『KANA-DERO』を現地で見ており、非常に感銘を受けてオーディションを受けたと答えている。 その後、ランティスが企画した樋口楓のインターネットサイン会にもなに食わぬ顔でメッセージを送り、そのまま放送中に「雪代眞尋」としてコメントを読まれるほど、筋金入りのファンなのだ。 くわえて言うならば、自身がデビューした翌日、2019年5月2日に配信されていた叶の活動1周年配信にスーパーチャットを送っていたこともある。彼女自身がにじさんじに対して深い愛情を持っているのが伝わってくるエピソードだ。 そのにじさんじ愛はいまでも健在で、にじさんじENに所属しているアルバーン・ノックスが自身の配信でゲスト出演した際には「にじさんじのライバーで久々にグッズを買ったの! でもアルバーンだけじゃ寂しいからサニー・ブリスコーのグッズもね!」と話している。 そしてそうした愛情はにじさんじ以外のゲームや漫画に対しても同様だ。ボーカロイド好きでもある雪城は『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』にも熱を上げており、グッズを大量購入することも。まれにTwitterにあがっている写真からもその一端を感じられるだろう。 ・料理が得意という家庭的な一面を持つ雪城眞尋 ここまで紹介したように、強いオタク気質を放ち、ファンコミュニティとも近しい距離を保つ雪代眞尋。そんな彼女には、その親密さや距離感の近さをより強めてくれるような、とある趣味・得意分野がある。 ズバリ、料理である。 デビュー当初から数年ほどは実家からの配信となり、ホラーゲームの配信途中にはあまりにも叫び過ぎたせいで母親からこのような被害届が手元に置かれるほどだった雪城。 2021年春からひとり暮らしをスタートさせると、多くのVTuberが「Uber Eats」などの宅配サービスで食事を済ませるなか、彼女は母から教わったであろう炊事スキルで料理を作っていくようになった。 一見、配信活動にはあまり関わらない部分のように思われそうだが、Twitterにいくつか料理の写真を投稿すると、それを見たファンから多くの反応が返ってきていたのだ。そして、のちには雪城によるお料理動画の制作・投稿に至っている。 その内容も、いわゆるVlogやYouTuberらしい「実写」がメインとなっており、音声は調理音だけ。料理動画に合わせエピソード・視聴者の質問などを字幕で答えるというものだった。 一時期まではTwitterのモーメント機能を活用して投稿した料理・お菓子写真をまとめており、その更新が途絶えて以降から2023年現在までラインナップを振り返っても、そのレシピの種類はかなり多種多彩。 出前ばかりの食事・運動不足など不摂生な生活がネタにされやすいVTuber~バーチャルタレントシーンにおいて、ローストビーフ、ミートパイ、マカロン、ポトフなど凝った自炊料理を上手に作って見せる人物はなかなか見当たらないだろう。その一部始終はTwitterのハッシュタグ「#雪城さんちのごはん」で確認できる。 その腕が見込まれてかどうかは分からないが、雪城はにじさんじの女性陣を中心に多くのメンバーと交友関係を築いている。「私が一番仲が良い」と公言する山神カルタを筆頭に、山神の同期である星川サラ、『Apex Legends』の実況配信で多くのコラボをしてきた先輩のえる、2期生の夕陽リリと家長むぎ、この1年でデビューした天ヶ瀬むゆや卒業してしまったがメリッサ・キンレンカなど。 「あの時にあの話しをした」「あの時に雪城の家に行った」「あの時手作り料理を食べた」「あの時に一緒に泊まった」と数々のエピソードが雪城本人・関係する人物らから話されており、先輩・後輩に関わずコミュニケーションをとっていることが伺える。 とくにメリッサとは彼女が活動最終日を迎える手前にもオフコラボを共にし、「最初に話しを聞いたのは随分最初のほうだった。その話を知ってから数か月くらいは、一緒に旅に出よう(卒業しよう)か考えた」と白状している。 もちろん現在でも元気に雪城の活動を続けており、活動に関してもかなり意欲的。人によってはこういった裏話を嫌うかもしれないが、にじさんじの同僚同士がいかに親密で支え合いながら活動しているかが伝わってくる。 ・昨年からスタートした「朝活」配信は150回を超えるロングラン企画に メリッサが卒業したあとの配信で「自分にとってやりたいことが見当たらなかったけど、これからはやりたいことがあるなという気持ちがある」と話していた雪城眞尋。もっとも長く継続しており、「やりたいこと」がなんだったのかがよくわかるのが「朝活」配信だ。 2022年5月3日のゴールデンウィーク期間からスタートした朝活配信は、平日の朝6時半からスタートして約2時間ほどで終えるもので、季節・時期によって変わっていく様々な話題に触れつつ、その時集まったリスナーのコメントから様々に話しを膨らませていく内容となっている。 朝の時間帯とはいえ雪城眞尋らしさある配信となっており、リアルタイムで送られてくる話題に頷きながら話しを進めていくトークスキルとノリ、彼女の温かくも優しい目線、2D/3Dビジュアルに関わらず感情豊かにリスナーをイジっていく砕けた口調で根強い人気を集めている。 この朝活配信はすでに150回以上もおこなわれており、これまで彼女が続けてきた配信活動でも随一のロングラン企画となっている。この企画がスタートした頃から朝配信をするにじさんじメンバーが増えつつあるが、平日にほぼ毎日配信している雪城の朝活配信は名物企画へと成長していきそうだ。 これの影響により、デビューから数年ほどFPSを中心にしたゲーム配信が多かった彼女は、午後や夜の時間で配信することが一気に減ってもいる。もしかするとこうした活動時間の変化で彼女の配信を見るタイミングを失ったファンもいるかもしれないが、いま彼女は「自分らしい配信」をとどけることにフォーカスして活動しているともいえよう。
リアルサウンド