雨宮天、花澤香菜、佐倉綾音、宮野真守……加速する人気声優のドラマ進出を考える
2021年12月21日 18:12
雨宮天、花澤香菜、佐倉綾音、宮野真守……加速する人気声優のドラマ進出を考える

 声優のドラマ進出が徐々に進み始めているここ数年。「演技者」「表現者」として、アニメ作品だけではないフィールドに活躍の場を求める声優は次第に増え続けている。ここでは人気声優らのドラマ進出について書いていきたいと思う。 【画像】YouTubeコンテンツでも活躍する雨宮天  直近の話題で挙げるならば、2023年1月18日から放送される竜星涼主演の連続ドラマ『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)に、雨宮天が出演することだろう。雨宮が連続ドラマにレギュラー出演するのは初めて。竜星演じる投資会社の社長・三星大陽の専属秘書・M(えむ)を演じるとのことだ。このキャスティングに関しては、フジテレビ編成部の企画担当・狩野雄太と原作者の福田秀との相談で決まったという。「原作の先生が私の声を想像して下さっていたと聞いてうれしかったです。私演じる大陽の秘書・Mは、声優として培ってきた経験を生かせるキャラクターだと感じました」(※1)と雨宮は喜びのコメントを残している。  もちろん普段アニメで演じる芝居と実写の芝居は大きく異なる。実写は体を動かして全身で表現するし、顔の向き・角度・表情の一つひとつでも違いが生まれる。これまでの音楽活動で体を動かすことには慣れていても、「演技」となるとまた別物だろう。  声優・音楽活動・雑誌などのメディア向け活動で多忙を極める彼女が、実写ドラマへと挑戦するのは、自身のスキルを活かした表現のチャンスであり、表現者としての深みを増すためにも必要だと踏んだのではないだろうか。  彼女以外にもドラマへと挑戦する声優は増えている。  たとえば、花澤香菜が主演する名古屋テレビによる地域密着ドラマ『名古屋行き最終列車』の最新作『名古屋行き最終列車~樽見鉄道編~』が、12月4日、5日に2夜連続で放送された。  実は同作品には2018年の第6弾から断続的に登場しており、仕事を辞めて女優を目指し奮闘する藤田未来役を演じてきた。お笑いやコメディが好きな花澤は、それまでもバラエティ番組への出演は多数あったが、「コメディタッチな実写ドラマで演技する」というのは彼女にとってチャレンジであったろう。  彼女の実写での演技はファンにとっては貴重ということもあり、本作では『名古屋行き最終列車 花澤香菜の華麗なる5年』と題されたBlu-ray・DVDが発売されている。コメディタッチな演技に挑戦する花澤の姿や、5年に渡って変わっていく彼女の横顔を捉えた、本シリーズならではの作品となっている。  コメディタッチな実写作品といえば、佐倉綾音がお笑いトリオ・東京03による冠番組『イザミと東京03』(日本テレビ)にヒロイン役として出演したことも記憶に新しい。コントとドラマをミックスしたような内容となっており、佐倉は東京03を振り回すVTuber・恋神イザミの“中の人”を演じている。  佐倉と東京03は『ゴットタン』(テレビ東京)やお笑いラジオ番組『東京03の好きにさせるかッ!』(NHK第1)などで共演しているものの、さすがに緊張は隠せなかったようで、体を使った演技だけでなく、そもそも台本を持たないで演技をすることへの不安が彼女を襲ったという(※2)。  それでも演じ切ることができたのは、東京03とスタッフ陣のおかげだと感謝をしており、声優としてはトップランカーの彼女でもまだ未体験のゾーンだったのだろう。  一方、男性声優では宮野真守が素晴らしい活躍を続けている。2022年は『DCU』『石子と羽男 ―そんなコトで訴えます?―』に加え、秋にはドラマ『君の花になる』(TBS系)にレギュラー出演。7人組ボーイズグループ・8LOOMのマネージャー・添木ケンジ役を演じた。それだけでなく2023年1月からスタートする、彼にとってキャリア初の月9ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)にも出演が決定している。  そんな宮野だが、活動の場はドラマに止まらない。本業のアニメ作品に声優としてキャスティング・関連イベントへの出演はもちろん、今年3月から4月にかけてはミュージカル『神州無頼街』に福士蒼汰とバディとなって主演を務め、11月22日から12月25日にかけては『MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 ~ENTERTAINING!~ supported by JOYSOUND』と題したアリーナツアーを3公演を行う。エンターテインメントの求道者のような活躍を見せている。  ほかにも加藤英美里、三澤紗千香、関智一、梶裕貴といった声優が実写ドラマに登場しており、昨年には三石琴乃が『リコカツ』(TBS系)で初の連続ドラマレギュラー出演したことも話題になっていた。このように、主演級の役回りでシリーズを通して出演するだけでなく、各話においてスポットの当たる役に起用されるケースが増えてきている。アニメのアフレコや稽古の時間、関連イベントへの出演に加え音楽活動、メディア出演など、トップをひた走る声優たちは多忙を極めている状況だ。  そういったなかで新たに実写作品での演技に挑戦するのは、先にも述べたように「演技者」「表現者」として演じてみたいという欲求であったり、ひとつ上の表現力を身につけようというマインドセットがあるからではないだろうか。飽くなき探求心や飢餓感がそこにはある。  加えて、デビューするまでの過程で、演者としてのレッスンに励み、演技の基礎を学ぶことも多い声優は、元々役者向きなスキルを持っているというのは重要であろう。今後はより声優がドラマ作品に出演する機会が増えていくかもしれない。 ※1:https://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/20221323.html ※2:https://www.ntv.co.jp/tokyo03sutaa/articles/25693qi4q16wgz5xpjqz.html

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