2022年はソーシャルVRで文化の醸成が加速、2023年はインフルエンサーが登場するかも
2022年01月10日 20:01
2022年はソーシャルVRで文化の醸成が加速、2023年はインフルエンサーが登場するかも

2021年頃からインターネットを中心に注目を集めてきた「メタバース」というキーワード。 「ソーシャルVR」の詳細を写真で紹介 アバターの姿でネットのバーチャル空間に集まり、世界中の人と交流できるという内容で、なかでもVR機器を装着して別世界に行ったような体感が得られる「ソーシャルVR」(VRSNS)の新しさに注目が集まっている。そんなメタバースの2022年を振り返り、2023年の可能性を予測していこう。 さらに民生用のモーションキャプチャー機器の登場が、現実とアバターの体の同一化を加速させる。通常、VR内におけるユーザーの姿勢は、頭部のHMDと両手のコントローラーの3点から推測している。つまり下半身は「多分こんな感じだろう」と予測した状態なのだが、たとえば足を組んだり、寝たりするなどの反映されにくい動きもある。リアルと同じ感覚で動かせるアバターだからこそ、きれいに見せたい……。 そこで腰や下半身にモーションキャプチャー機器を装着することで、全身の動きをアバターに反映できるフルボディトラッキング、通称「フルトラ」を導入するユーザーも出てきた。元来、モーションキャプチャーというのは完全に業務用のものだったが、キャラクターの姿で動画投稿や生配信を行なうVTuberのムーブメントもあり、2017年の「VIVEトラッカー」あたりから数万円で購入できる製品も登場してきた。 まだまだ嗅覚や味覚は得られないものの、物語の中で夢見られてきたフルダイブ型のVRに近いものに触れられる。2022年においてメタバースはさまざまな角度で語られているが、このソーシャルVRの体験の新しさは外せない要素になる。 同じVRChatでいえば、日産が電気自動車の「日産サクラ」、モスバーガーが「月見フォカッチャ」の発売に合わせて、VRChat上で独自のワールドを用意してPRする展開もあった。 国産メタバースである「clsuter」では、KDDI/一般社団法人渋谷未来デザイン/一般財団法人渋谷区観光協会が2020年より展開する「バーチャル渋谷」のイベントが、ゴールデンウィークやハロウィンに合わせて実施されていた。 コンテンツホルダーのメタバース立ち上げも目立った。具体的にいえば、テレビ朝日の「光と星のメタバース六本木」、テレビ東京の「池袋ミラーワールド」、小学館の「S-PACE」(スペース)など、枚挙にいとまがない。バンダイナムコも2月に発表した中期計画で150億円規模をメタバースに投資すると発表し、「ガンダムメタバース」の構想を発表している。 たとえば、商品の概要や値段を調べたかったらWebサイトで事足りるが、生の声や細かい使い勝手を聞きたければ店舗を訪れてスタッフに聞いた方が早い。……といったように、単純に情報を知る以上のリッチな体験をオンラインで提供できるのがメタバースのメリットになる。広い文脈では、イベントや店舗のDXとも言えるわけで、この流れは来年も加速していきそうだ。 なぜアバターファッションが伸びているのか。それはソーシャルVRが生活に根付いてきたことの裏付けだろう。 前述のように、ソーシャルVRではアバターの体を自分の体として認知させる特性がある。そしてアバターの体は、写真加工アプリで補正するというレベルではなく、文字通り性別や種族を超えてなりたい姿を選べるわけだ。 そこでたとえばかわいいアバターをまとえば、男性の体ではなかなか難しい、かわいいという褒め言葉を目の前の人からもらえるし、実際ソーシャルVRの中で写真を撮ってもかわいいと自認できる。ネットでシェアしても注目してもらえて承認欲求も満たされる。そしてモテる。 TwitterやInstagramをはじめとするSNSは、自分は誰かにとって価値のある存在だと認められたいという欲望も飲み込んで成長してきた。ソーシャルVRは、その注目の矢印を直接自分の体に向けて、さらには自己イメージを上書きできる点が強みになるだろう。もちろん、単純にかわいくなれたから、かわいいファッションを身につけて楽しくなりたいというニーズもあるだろうが……。 2022年は前述のビームスだけでなく、アダストリアがVRChat向けアバターをリリースしたり、フェリシモがクリエイターとコラボしたりと、アパレル企業がメタバースファッションに興味を示した年だった。そしてアバターを美しく動かすモーションキャプチャーに関しても、2023年1月ソニーが「mocopi」(モコピ)を発売するなど、より一般化が加速しそうだ。 2023年はそうしたアバター周りの土壌が整ったうえで、クリエイターだけでなく、アバターを使いこなすおもしろい人が集まり、ソーシャルVR発のインフルエンサーが増える年になるかもしれない。企業発の動きとともに、こうしたユーザー発の動きも見逃せない。 ソーシャルVRに関しては、一度HMDをかぶって体験しないと絶対にその価値がわからない。まだという方は、時代の最先端を知るという意味でも、ぜひどこかで体験しておいてほしい。

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