【2023年話題記事】未だ蔓延る「闇バイト」に申し込んでしまったら?脱出方法とは?
2022年12月28日 17:12
【2023年話題記事】未だ蔓延る「闇バイト」に申し込んでしまったら?脱出方法とは?

 2023年は、「闇バイト」関連の事件が多発した。2023ユーキャン新語・流行語大賞でもトップ10にランクインした。「ルフィ事件」をはじめ、銀座・高級統計店での白昼強盗事件など、若者たちによる強盗や特殊詐欺事件が頻発し、社会を不安に陥れている。その残虐で短絡的な犯罪手法は、長らく日本の誇りであった「治安の良さ」までも崩壊させつつあるといえるだろう。 【マンガを読む】「死ねといったら犯罪になる?」子どもたちが「裁判」を行った  若者が“割の良いバイト感覚”で簡単に犯罪に手を染めるのはなぜなのか。「闇バイトはコスパよく稼げる」と思い込んでしまうのはなぜなのか。それが真っ赤な嘘である理由を元少年院法務教官で、チャンネル登録者数10万超えのVTuberのかなえ先生が詳しく解説してくれた。  「闇バイト」の問題は、2023年の過去のニュースではない。今も「闇バイト」がらみの犯罪は続いている。今日明日のお金に困り、犯罪にハマり、周囲を巻き込んでさらなる経済的地獄・人生の破滅に突き進む子どもたちを、親世代の私たちはどうやって救い出すべきか、真剣に向き合い続けなくてはいけない。前編に続いて後編では、「闇バイト」の罠にはまらないために必要なこと、万が一堕ちてしまったときにどうすればいいかを、2023年話題の記事として、再編集でお届けする。  「闇バイトを募集する犯罪者グループは、言葉巧みに子どもたちを犯罪に巻き込んでいきます。高額な報酬で釣ってみたり、暴力や言葉で脅したり。警察に捕まるのではないかと心配する子どもには『万が一捕まっても、未成年なら刑は軽いから大丈夫』と口説くといわれますが、僕はちょっと違うのかなと思います。『刑が軽い』と言われても『じゃあいいか』とはなりにくい。それより『よそは捕まってる奴もいるけど、うちは今まで誰も捕まってないから大丈夫』『ちゃんとフォローするし、事件後はかくまってやるから捕まらないよ』なんて言っているのではないかと。  もちろんそんなの嘘。実行犯がヘマして捕まったら、トカゲのしっぽ切り同様、捨て駒にして自分たちだけ逃げる。うまく行ったら上がりを吸い取り、失敗したらそのまま見殺し。それが闇バイトの実態です。登場人物全員犯罪者なのにどうして彼らの言葉を信頼するのか? と聞いてみたいです」(かなえ先生)  ちなみに日本の強盗犯の検挙率は、約9割。未成年だろうが大人だろうが、強盗をしたらほぼほぼ捕まるのは確実だ。もしも1回目の強盗で成功(逮捕されずに済んだ)したとしても、犯罪グループが『お疲れ様』と解放してくれるはずがない。実際に罪を犯してしまった子どもは『警察に密告するぞ』などと脅されて、2度目、3度目……、と結局、逮捕されるまで犯行を繰り返すしかなくなる。  「たとえば渋谷のアクセサリー店強盗事件のように、ひとりで4000万円相当を奪ったとしても、少年に支払われる報酬は多くて100万円程度でしょう。下手をしたら、前編で解説したように個人融資で作らされた借金と相殺とか、脅されて無報酬、なんていう場合も考えられます。  運よく100万円もらったとして、引き換えに自分は少年院や刑務所に収容されるリスクを負います。強盗等の重犯罪は警察も本気で捜査しますし、指示役が捕まらなければ被害弁済は全て実行犯がしなければなりません。場合によっては数千万円の損害賠償請求がなされる可能性があります。このようなリスクが果たして報酬の100万と釣り合うものなのか、冷静に考えてみれば『闇バイトはコスパがいい』なんて、真っ赤な嘘だってわかるはずです」(かなえ先生)  強盗罪は非常に重罪で、成人の場合は前科がなくても実刑は確実。5年以上の有期懲役となる。10代でも18歳以上なら「特定少年」として、成人同様に刑事裁判で裁かれる可能性が高くなる。  また強盗に押し入った際、その場にいた人にケガをさせたり、殺してしまったとなれば、強盗致傷罪、強盗致死罪などさらに刑は重くなり、最悪死刑もあり得るという。  「さらに、自己破産しても悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償権は免責されないので支払わないで逃げ切ることはできません。実際、少年院に入ってきた子どもたちに、何度被害弁済について相談されたかわかりません。そんな彼らは口をそろえて『そんなん(被害弁済しなければならないなんて)、知らんかった』って言うんですよ。こっちからすると“知っとけよ、当たり前だろう”の話なんですが……。  罪を犯した子どもに代わって、道義的責任や減刑のために親が弁済する場合もありますが、莫大な請求に応えるため、親が家を売ったりして全財産を差し出しても足りないことも……。  闇バイトが仕事なんかじゃないこと、犯罪後にはこうした地獄が待っていることを、マスコミにも報道してほしいし、学校でもはっきりと教えるべきだと思います」(かなえ先生)  「子どもたちが親に言えないお金を必要とする理由は、昔よりずっと増えています。また、メディアやSNSで同年代の成功者が可視化されていき、生きづらさを覚えたり、自分もお金をたくさん稼いで有名になりたいと思う人が増えたのかもしれません。学歴や誇れる才能などを持っていないと感じる子どもにとって『お金を持っている』ことは劣等感を拭うためのひとつのステータスになり得ます。彼らが自分の現状から一発逆転を狙って、というかほかに選択肢もなく闇バイトに手を出してしまう今の状況は、一刻も早く社会全体でなんとかしなくては、と考えています」(かなえ先生)  自身も学生時代、借金した経験があるというかなえ先生が、まさに今、闇バイトに応募しようか迷っている子どもたちに伝えたい言葉とは。  「闇バイトでは絶対に、今の状況は好転しない。一発逆転も無理。自分の人生のためにも、闇バイトへの応募するのだけは踏みとどまって」(かなえ先生)

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