
【ライトノベル最新動向】『とある』『魔法科』『SAO』新作が登場! 12月の注目ライトノベル
12月のライトノベルは、世界累計3000万部の『ソードアート・オンライン』、シリーズ累計3100万部の『とある魔術の禁書目録』、シリーズ累計2500万部の『魔法科高校の劣等生』シリーズと、電撃文庫でも突出した人気を誇る3シリーズに関する新刊が12月8日に登場して、書店のライトノベルコーナーを賑わせそう。 『SAO』は作者の川原礫が書いたものではなく、『幽世の薬剤師』(新潮文庫nex)シリーズが人気の紺野天龍によるスピンオフ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ミステリ・ラビリンス 迷宮館の殺人』(電撃文庫)。キリトやアスナが巻き込まれた「SAO事件」の裏側で起きていた連続殺人事件に、オンラインゲーム内で探偵事務所を開いている探偵が挑む本格ミステリとのこと。シリーズのファンとミステリファンを呼び込む新境地となるか。 鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』シリーズは最新刊となる『創約 とある魔術の禁書目録9』(電撃文庫)が発売。CRC(クリスチャン=ローゼンクロイツ)の刺客を相手に上条当麻が戦うストーリー。佐島勤『魔法科高校の劣等生』シリーズは、高校を卒業した司馬達也と美雪が自分たちで立ち上げた組織で活動する様を描くシリーズ『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー7』が登場。日本に縛り付けられた達也をめぐって起こる事件と、揺れる世界情勢が綴られる。 人気シリーズでは、長月達平による『Re:ゼロから始める異世界生活36』(MFバンクOJ)が12月25日に発売。神聖ヴォラキア帝国にエミリア陣営が集い仲間たちとともに大災に立ち向かう。藤井聡太八冠の登場で沸く将棋界がテーマになった白鳥士郎のシリーズからは、『りゅうおうのおしごと! 番外編1』(GA文庫)が12月15日に発売。第1巻から第8巻までに付けられた店舗特典のショートストーリーを取りまとめ、書き下ろし小説『シャルちゃんのおしごと』も収録して、シリーズに登場するキャラたちのワチャワチャとした日々を見せる。 『このライトノベルがすごい!』で殿堂入りを果たした香月美夜によるシリーズの完結編『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身12」』(TOブックス)は12月9日発売。転生から本好きの欲求を満たそうと行動してきたローゼマインの探求が、ユルゲンシュミット初の未成年領主の誕生へと至って図書館都市の新しい幕を開く。イラストの椎名優による四コマ漫画なども収録。 人気急上昇のシリーズでは、『このライトノベルがすごい!2024』で文庫部門第2位に入った鵜飼有志『死亡遊戯で飯を食う。5』(MF文庫J)が12月25日に発売。デスゲームに挑み続ける少女が主人公のシリーズで、最新刊では〈ハロウィンナイト〉で出会った玉藻を弟子にして、盲目の元プレイヤーを訪ねるという展開から何かが起こる。『このラノ!2024』で文庫部門9位に入った羽田宇佐のシリーズも新刊『週に一度クラスメイトを買う話3 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~』(ファンタジア文庫)が12月20日に発売。宮城と仙台という2人の少女の間に通う、金を言い訳にした関係を描く。 二月公による声優青春ストーリーも12月8日発売の『声優ラジオのウラオモテ #09 夕陽とやすみは楽しみたい?』(電撃文庫)で第9弾。声優のオーディションでは連敗続きで勉強の方も今ひとつの佐藤由美子が、どちらも好調の渡辺千佳との関係に迷う姿が見られそう。アニメ化も決定していて放送が始まれば人気も知名度も一段と上がるだろう。 新作では、12月18日発売の新馬場新『十五光年より遠くない』(ガガガ文庫)が深いSF的なストーリーを読ませてくれそう。太陽フレアによって大停電が発生し、混乱する世界で元自衛官が初恋の女性の妹とともに東京を危機から救い、初恋の人の命も助けようと行動する。12月8日発売の野宮有『どうせ、この夏は終わる』(電撃文庫)も、滅亡へと至ることが決まった世界が舞台のSFライトノベル。諦めていた少年ややさぐれていた少女に起こる出来事を描く。 SFでは、森岡浩之による『プライベートな星間戦争』(星海社FICTIONS)が12月12日に発売。人類がテクノロジーの進化によって「半神」となった世界で、宇宙から襲来する悪魔を相手に戦う天使のひとり、エスクの中に違和感が生まれる。『星界の紋章』の作者ならではのスペースオペラを見せてくれるだろう。 第28回スニーカー大賞《金賞》の犬甘あんず『性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話』(スニーカー文庫)は12月1日発売。幼なじみで何をやっても完璧な梅園小牧に挑んだ勝負で負けて吉沢わかばはファーストキスを奪われる。思春期の少女たちの甘やかな関係を読ませてくれる。第19回MF文庫Jライトノベル新人賞で《優秀賞》受賞の三船いずれ『青を欺く』(MF文庫J)は2月25日発売。本当の自分を隠して日々を過ごす少年が、後輩女子から自主制作映画への出演を誘われる。自分をどう表現すれば良いか迷う思春期の少年少女に何かを与えてくれそうな作品だ。 12月20日刊行の最宮みはや『性別不詳VTuberたちがオフ会したら俺以外全員女子だった』(ファンタジア文庫)は第8回カクヨムWeb小説コンテストのラブコメ部門〈特別賞〉&〈CW漫画賞〉受賞作。男と思っていたVTuberが女子で戸惑うとともに、自分が美少女だったと言われてさらに混乱するドタバタ劇を楽しめそう。 キャラクター文芸系では、12月15日発売の黄鱗きいろ『黄泉平良坂骨組堂』(富士見L文庫)が面白そう。気がつくと生と死の狭間にある黄泉平坂に倒れていた少年が、さまよえる魂を導く仕事をしている2人の男たちを手伝うことになるという設定。人の生死に関わる苦悩をどのように解きほぐすのか、といった物語になっていそう。 愁堂れな『相棒は犬 転生探偵マカロンの事件簿』(集英社オレンジ文庫)は、親友の殉職をきっかけに警察を辞め探偵事務所で働き始めた甲斐のところに、自分は親友の三上だと人間の言葉でしゃべるトイプードルが訪ねてきて、自分を殺した犯人を探してくれと頼む。トイプードルを「マカロンちゃん」と読んでかわいがるヤクザの若頭も絡んで混乱する状況と、犬の探偵ぶりを楽しめそう。12月19日発売。 格差婚からのときめきストーリーを読ませてくれそうなのが、戸野有希『冴えない王女の格差婚事情1』(メディアワークス文庫)。地味だが政務に優れた才能を見せるハイドランド王国第二王女のソフィーナに縁談が舞い込む。相手は憧れていたカザック王国のフェルドリック王太子。ところがフェルドリックはソフィーナを見下すようなこと言っていた。それなのにどうして自分を? 最悪な始まりだった政略結婚の裏に何があるのかにドキドキさせられる新シリーズだ。
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