【プレイレポ】最新作『ストリートファイター6』を遊んだら、面白いしリュウがかわいいし「格ゲーで強くなるって何なんだろう」って身悶えました
2022年06月28日 18:06
【プレイレポ】最新作『ストリートファイター6』を遊んだら、面白いしリュウがかわいいし「格ゲーで強くなるって何なんだろう」って身悶えました

 バーチャルYouTuber、マシーナリーとも子による不定期コラム第35回。今回は、シリーズ最新作『ストリートファイター6』の目玉の1つになっている「ワールドツアー」プレイレポです。 【図説】今作のリュウのかわいさ  そしてこのモードで白眉なのが「プレイアブルキャラを師匠にできる」こと。師匠に教わることで使える技が増えていくって仕組みなのね。  で、仲良くなればなるほど技も教えてくれたり、戦闘中、援護に来てくれるようになったりする。さらにスマホでチャットまでできる!!!  コレが最初に言った、リュウがかわいすぎる問題につながるんですね。  いや、まじでリュウのこと、ずっと知ってたけど今更お前のことかわいいと思うなんてびびっとるよ。  キャミィとかもかなりおすすめで、すぐ返事しないと怒ったりするの「あ、あざとい……!!!」ってなる。すごすぎる。  絆レベルを上げると美麗な一枚絵まで表示されるのでサービスが過ぎてビビる。  っていうかさ……この……「一人用の楽しいモード」「ゲームを通してチュートリアル」「プレイアブルキャラと仲良くなれる」ってさ……完全に『私立ジャスティス学園』※じゃん!!! 「熱血青春日記」! なあ「熱血青春日記」だろお前!! ※私立ジャスティス学園:1997年に稼働開始したカプコンの格闘ゲーム。家庭用移植版では学園生活を送りながら格ゲーをしながら生徒と親交を深められる恋愛シミュレーションのようなモードがあり、めちゃめちゃ面白くて評判となった。ストリートファイターと世界観を同じくしている  そうか! 『ストリートファイターV』にあきらが参戦していたのはこの伏線だったんですねっ!!!  とにかくこのワールドツアー、昔からのキャラは新たな一面をたっぷり見せてくれるし、格ゲーの新規シリーズで完全新規のキャラが出てきたときに「誰こいつ?」ってなりがちなのも解決してくれるしスゲーっいいモードだと思うぜ!  あと『ファイナルファイト2』のカルロス宮本とか初代『ストリートファイター』の烈とかにまで掘り下げがあるのは狂ってると思います。いい意味で。  そんなこんなで「大好きだしすごいモードだぜ! でももうちょっと何とかしてほしいところもたくさんあるぜ!」という気持ちを抱えているワールドツアー。  遊んでるあいだは「楽しいけど惜しいな~」と思ってたんだけど……エンディングまで遊んで「変だけど……大好きかも!!!」になってしまった。  その話をしたいのでここから先は微ネタバレということでお願いします。明確なことは書かないけどニュアンスは書くみたいな感じなので「雰囲気すらもネタバレは吸いたくないぜ!」という人は読むのここまでにしておいてください。  本作は終盤~エンディングがなかなか衝撃的な……「えっ!? こんな終わり方すんの!?」な展開となっている。  正直、もっとお気楽な展開になると思ってたのでめちゃめちゃびっくりしたし、言葉を選ばずに言えば「変すぎる……ひねくれすぎてないか!?」と思った。受け取り方次第では「こんなことに何の意味があるの?」と言われたような……突き放すような内容だったからだ。  「強くなるってなんだろう」という問いかけから始まるワールドツアー。  この言葉はおそらく『ストリートファイターII』のころに生まれた伝説的なキャッチコピー「俺より強い奴に会いにいく」や、それを引き継いだ『ストリートファイターIV』のキャッチコピー「俺より強いやつは出てきたか」を意識したものだと思うんだけど……。  ワールドツアーをクリアした今、改めてこの言葉を見ると確かに……と思わずにはいられない。強くなるって、なんだろう。強くなって、何の意味があるのだろう。試合に勝って、それで……?  それはストリートファイター世界のファイター全てが抱えている悩みだ。彼らはみんな強くなりたい。なぜ? 強くなりたいのは確かなんだが、それで、強くなってどうする?  やればやるほど、私も自問自答してしまった。単にこの言葉をゲーム内の、あの世界での言葉として受け取ってもいいだろう。  でもこの『ストリートファイター』シリーズは対戦格闘ゲームなんだ。相手と、戦って、勝つ。究極的にはそれが目的のゲームなんだ。それが「クリアすれば終わりのゲーム」とは異なる点であり、アイデンティティーだ。だから勝つために強くなる。  でも、強くなったから……ゲームがうまくなったから、それでなんなんだ? ワールドツアーはそのことをわれわれに突きつけてきている気がする。考えすぎだろうか?  難しいコマンドの技を、難易度の高いコンボを出せるようになり、読み合いに勝てるようになる。中段で立てるし投げ外しをすることができるようになる。そして試合に勝てるようになる。ランクが上がる。でも……それって、なんなんだ? 強くなるって、なんだろう。  そしてその問いかけはプレイヤーだけでなく制作側も抱えているんじゃないか。  「対戦格闘ゲームを作る」というのはどういうことなんだ。  対戦格闘ゲームは常にジレンマを抱えている。初心者が新しく始めづらい、経験者に有利すぎるというジレンマを。そして当然、経験者を切り捨てるわけにもいかない。彼らはずっと格闘ゲームを愛してくれているし、それこそプロゲーマーともなればゲームのシーンそのものを盛り上げてくれもするからだ。  でも両者に絶対にフェアなゲームを作るのは難しい。  というか、対戦格闘ゲームと言いながら、対戦なんかしたくないという人も大勢いる。対戦格闘ゲームというジャンルはキャラクターを自由自在に動かす面白さという点も大きいからだ。別に誰もがみんな勝負をしたいわけじゃないんだ。  じゃあストリートファイターたちは、プレイヤーは、メーカーは、どうすればいいのか? 強くなんかならなければよかったのか? ワールドツアーでやってきたことは全部無駄だったのか? ゲームがうまくなったことは? 対戦格闘ゲームというジャンルを作り出したことは?  無駄じゃないことは確かだ。得るものはたくさんあった。だが……「それで?」  結局、「強くなる」ということに明確な答えはない。迷い続けながらやっていくしかない。そういうことなんだろう。  そうした模索の答えとして「ワールドツアー」や「モダン操作」が生まれた……。そんなメッセージをワールドツアーのストーリーから考えるのはさすがに思い込みが強すぎるだろうか。  でもなんか、そう思わずにはいられない、悩みの発露みたいなものをものすごく私は感じてしまって、そうするとワールドツアーのある意味いびつとも言える作りについても愛おしさを感じてしまった。  変なゲームであることは間違いない。でも……これはカプコン製作陣がこれまで感じてきたジレンマに対しての現時点の回答であることもまた間違いない。  なんかそういう強いメッセージ性みたいなものをガード崩されて最大たたき込まれたみたいな感じで受け取ってしまい、私はフラフラになりました。

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