
2022年は個人VTuberもすごかった!個人活動VTuberがアップした必聴音楽10選
VTuberを観測していて気づくことがあります。VTuber、MVめっちゃ出してる! 2022年はカバー曲MV、オリジナル楽曲MV共にとんでもない数の動画がアップされました。MVを作る労力を知っている人なら、その熱量に仰天すると思います。 【画像全9枚】 特にオリジナル楽曲なんてそうそう作れるものじゃない。しかも個人で活動しているとなると、作詞作曲編曲、演奏打ち込み、自分の収録、MIXと全部自分で準備する必要があり、MVの数分の重みに感服するばかりです。 インサイドでは「にじさんじ」「ホロライブ」のオリジナル楽曲をすでに紹介しています。今回の記事では事務所に所属していない、個人で活動しているVTuberの楽曲からオールジャンルで10作品を紹介します。 ◆名取さな - モンダイナイトリッパー!【オリジナルソング】 個人で活動しながらも、大々的なライブを行うなどエンターテイメントに関してはこだわりを強く持っており、妥協を一切見せないのが名取さな。彼女も今年ソロアーティストとして様々な曲をアップしてファンを喜ばせました。 名取さなの魅力は、同級生的にじゃれ合えるような距離感とインターネット友達感覚を与えてくれるところ。と同時に彼女には連綿と続く物語が隠されています。「モンダイナイトリッパー!」は表と裏の名取さなを直球で表現。ファンを驚かせました。 「私のなりたかった私の未来」がスマホの中に「名取さな」として映されており、それを観ているのはベッドの中で横になっている女の子。この関係が何を指すのかは過去動画にヒントがあります。 アッパーテンションのアニメーションMV、sasakure.UKの爽快な楽曲、それを歌う元気いっぱいな心地いい名取さなの声、ちょっと気になる考察要素。ひとつの曲で何度も美味しい作品です。 ◆シン・タンタカタンタンタンタンメン / ぼっちぼろまる (Music Video) かつてからコアな人気を博していたぼっちぼろまるが、ついに今年メジャーデビューを果たしました。 デビュー一曲目として選んだのは完全新作ではなく、彼がとても大切にしてきた過去作品のリメイク、という意外な選択でした。この今までの歩みを大切にする思いこそが、ぼっちぼろまるというVSingerの魅力そのものになっている気がします。 ボーイミーツガールなストーリー性のあるアニメーションMVはとってもキュート。この楽曲が持つ少年漫画的エモーショナルを完璧な形で再現しています。 今年はTikTokで「おとせサンダー」などが大ブレイクし、人気と知名度が爆上がり中のぼっちぼろまる。今までもVTuberとして数多くの楽曲を大量に作っている彼なので、今後の活動のクオリティは折り紙付き。今までもこれからも注目度MAXな存在です。 ◆Gifts From My Dearsです。 実写の男性と、CGらしき人形の少女。HMDをかぶった男性の指示で、少女人形は動き、歌い出す。Gifts From My Dearsはバーチャルとリアルを組み合わせた、XR技術によるユニットです。人気の24時間配信企画「ぽんぽこ24」の中のCM枠で、ふたりのパフォーマンスは放映されました。 この特殊な映像技術と、ナイーブで優しい曲のクオリティにコメント欄は愕然としました。この動画がアップされているチャンネル登録者数は、跳ね上がりました。このユニットの魅力と才能が証明された瞬間でした。 歌うのは、おばあさんが最後に残してくれた編み物の具現化としての少女Wool。思いやりや愛情が、存在と歌そのものに内包されているから、生まれる音はとても繊細です。 ARとVRを駆使した技術ユニットとして、そして優しすぎる詩人として、これからの活動が楽しみです。技術畑の方面でも、話題は今後広まる予感がします。 ◆VRCのうた#18「ギラギラ星へ」 VRChatでの人間関係を、ユーモアとペーソスたっぷりにギターで弾き語りするてんてい。明るい歌声でメタバースでの生活を語る楽しい作品が多めなのですが、やはりメタバースといえども人と人。そこですれ違う心の傷や悲しみを、重すぎないさじ加減で表現することに長けています。 「ギラギラ星へ」は、メタバースに来てもなお感じるコンプレックスについて歌った作品。メタバース内でもそれぞれ表現活動など頑張る道がある人がたくさんいるのに、自分にはなにもない…。経験したことのある人には痛烈に刺さる楽曲です。 悲壮感を持って歌うのではなく、メロディに明るさもあるブルース感を持たせているため、「メタバースの今」が理解しやすい作品になっています。 ◆カワイイシンジュク - あかつきるき feat.ひじり/鹿あるく ひじりと鹿あるくによる楽曲をあかつきるきが歌った「カワイイシンジュク」は、共感度の高いアンニュイな感覚に響いてくる作品。前半の鬱々とした雨天の気持ちから、サビに入って一気に開けていくボーカルは必聴。 「わたし新宿少し乗り過ごして 退屈な日々を置き去っていくの」は、東京住みの人にはかなり刺さる歌詞だと思います。 ラジオを聴きながら新しい気持ちに切り替える様子を、アニメーションが華やかにイメージ再現。歌声の明るさと相まって心地よさ抜群のパートになっています。 悩んだ末あえて新宿で降りなかった彼女の姿が、ほんのちょっと前向きになる勇気を与えてくれるポジティブポップ作品です。 ◆JOHNNY HENRY - 愛にすべてを (Official Music Video) バーチャルブルースバンドJOHNNY HENRYは2022年のバーチャルなバンドシーンを牽引したグループのひとつ。 特にVRChat上での音楽活動における役割はとても大きく、ボーカルのYAMADAは「AWAKE24」という24時間ぶっ通しフェスイベントも毎年行っており、バーチャルシンガーたちとファンを大いに盛り上げました。 「愛にすべてを」のMVはそんな彼らを象徴するような作品。90年代の音楽番組を再現したような、画質、カメラアングル、セットがぐっと来ます。ロカビリースタイルでの曲の演奏レベルの高さは要チェック。 VRChat内外問わず、彼らの唯一無二な音楽スタイルは注目を浴びている最中です。 ◆インターネットお友達/93poetry Track by 三畳半スタジオ【ポエトリーリーディング】 93poetryの活動ジャンルは「ポエトリーリーディング」。詩をトラックにあわせて紡いでいく、ヒップホップとは異なる表現方法です。なので韻は踏みません。言葉を極限まで練り上げ、ひとつひとつを相手の心に伝えるため、全身全霊をもって訴えかけます。 彼の表現の特徴は、インターネット時代の人々の思い、メタバース時代の人のつながりを、極めて素朴に、率直に訴えかけるように語っていること。嫌味や綺麗事はなし。まっすぐな心の吐露を、バーチャルな姿で行っています。 「インターネットのお友達」はSNSを利用している人全てに聴いてほしい名作です。すぐ連絡の取れる便利な人間関係に見えて、その実非常に脆い現代のインターネットのお友達とのつながり。おそらく今生きている人たちなら誰しもが経験したであろう感覚が込められた、祈りのような作品です。 ◆【MV】2D / 天開司【Vtuber/オリジナル曲】 多彩なエンターテイメント配信や、真剣な麻雀の試合などでワクワクを与えてくれた天開司。個人で活動するVTuberの中でも活動の多彩さは目を見張るものがありました、そのひとつが音楽活動。生き様の詰まった表現は、天開司という男の魅力を強く浮き彫りにしてきました。 作品それぞれ、直球ではあるのですが言葉の使い方がものすごく繊細で深く考えられたものばかり。言葉を噛みしめるように歌う彼のボーカルは聴き応え抜群です。 実写作品として作られた「2D」のMVにファンは驚きました。「深みがあっても重みがあっても それらしいだけで中身がない」と訴える歌詞はギョッとさせられるものがあります。 ふたりの存在がぶつかりあうようなMVにあわせ、心を吐露するような天開司の吐露の歌声が響きます。彼の生き様が激しく刻み込まれた、聴くたびに新しい発見のある作品です。 ◆【5th Single】Dangling - ダングリン【PHAZE】 YouTubeやVRChatでセッションを見せてくれているバンドPHAZE。配信に、MV制作にと非常に精力的な活動を送っており、数多く出演しているライブでのパワフルなパフォーマンスには定評があります。 爽やかな曲からハードめな曲まで披露している3人の5つめのシングル「Dangling - ダングリン」は、エレクトロスイングを基調とした、ラップパートのインパクトも抜群のキラーチューンです。 歌詞はクリエイターにはかなり刺さる内容。作っても作ってもこれじゃない感に責めさいなまれ、売れないことに心をすり減らし、人を救う曲が書きたいと思っていたものの、今じゃ自分が楽になるための曲を書いている…。 アンビバレンツを抱えたクリエイターに悪魔がささやくような内容はかなりエグめですが、曲とボーカルが軽快に迫ってくるので聴きやすく、非常に踊れる作品に仕上げられています。 ◆【MV】僕のち〇こはとてもでかい / あくまのゴート あくまのゴートによる問題作には概要欄にこんな記載があります。 「 この曲は世界のどこかにいるかもわからない□自らのち〇このでかさを誇示する誰か□を揶揄するものであり、それ以外の特定の個人・集団及び「極めて現実的な出来事」を茶化したりくさしたりするものでは断じてございません。」 これを踏まえた上でMVを御覧ください。高らかに、ブルース調に歌うこの作品、どのようにみえるかはその人次第。こういうことができるのが、音楽の持つ力です。今年を象徴するとても大切な一曲として、是非聴いてほしい作品です。
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