
トイレの離席、甘いカクテル…飲み会トラブル頻発の今知りたい「お酒の注意点」
コロナが5類に変更後、夜の街はひときわにぎやかになり、コロナ前の賑わいを取り戻しつつある。それに伴い、飲みの席でのトラブルの増加を懸念する声もある。 【アルコール依存症チェック】あなたはいくつ当てはまりますか? 東京消防庁によると、コロナ禍は急性アルコール中毒の救急搬送は例年よりは低下したものの、コロナ前もコロナ禍も20代の搬送がもっとも多く、半数以上を占めているという(※1)。急性アルコール中毒は死亡事例もあるので、たかが飲みすぎとは言い切れない問題だ。さらに、それ以外にもお酒が入ることで、トラブルに巻き込まれることもある。 アフターコロナの気持ちが先行し、どうしてもたかが外れやすくなってしまうこの時期。楽しく飲むためにも、万が一の危険について、元少年院法務教官で「犯罪学教室のかなえ先生 V Criminologist」というチャンネルでVTuberとして活動し、『人生がクソゲーだと思ったら読む本: 生きづらい世の中の突破術』などの著書もある「かなえ先生」に、リスクを避ける酒の席での注意点を解説してもらった。 ---------- ※1:東京消防庁「救急活動の現況」(令和4年刊行)より ---------- 「女性が好む飲み口のよいカクテル類もアルコール度数が高いものが多い(※2)ので、注意が必要」だとかなえ先生。 「お酒ビギナーなら、店員さんにお酒を注文する際に『アルコール度数が低い、飲みやすいものでおすすめはありますか? 』と率直に聞くとよいです。また、よくかっこつけで『おすすめのバーがあるから』と小洒落たバーにデート相手を連れて行く男性もいますが、初デートなどでバーに行くとなったら、飲み始める前にトイレなどでこっそり、スマホで下調べを。そこは完全に相手のテリトリーです。店員も共謀する可能性がありますし、そもそも初デートで個室や人目のつきにくい隠れ家に連れて行く人は『人目につくと不味いことでもあるのか』or『気が利かない人(相手に不安を与えないようにする振る舞いや考えができない人という意味)』のどちらかです。 相手の男性がやたら何杯も飲ませようとしてきたり、しきりにアルコール度の高いカクテルを勧めてくるようなら『酔い潰して、そのまま……』と考えている可能性も疑った方が無難でしょう。よく知らない相手と飲むときは、個室席よりカウンターや普通のテーブル席など、他のお客さんや店の人の目がある場所の方が酒に小細工されたり、その場での性加害のリスクも低いので安心です。 出会ったばかりで信頼関係も築けてないのに、酒で何とかしようとする男なんて切って正解。危ないと感じたら『体調悪くなっちゃったから帰るね! 』とキッパリと告げて退散しましょう」(かなえ先生) ---------- ※2:ビールのアルコール度数は約5度なのに対し、スピリッツと呼ばれるラムやジン、ウォッカなどアルコール度数40度以上の酒がベースになっているカクテルはシロップやジュース、炭酸を加えても25度を超えてしまい、かなり強いお酒となる。飲み口がよいためジュース感覚でつい飲みすぎてしまうのも要注意ポイント。 【とくに注意したいアルコール度の高いカクテル例】 ビトウィーン・ザ・シーツ(40度)、アースエイク(40度)、グリーンアラスカ(44度)、フランシスアルバート/シナトラカクテル(49度)、ニコラシカ(40度)、ジン&ビターズ/ピンクジン(40度)、ジャックター(35度) 【飲みやすいが、意外にアルコール度数の高いカクテル例】 ロングアイランドアイスティー(22度)、ホワイト・レディ(25度)、ピンクレディ(18度)、ソルティ・ドッグ(15度)、レディキラーカクテル/アレキサンダー(20~25度) ---------- 信頼する相手との関係性を深めたり、コミュニケーションを円滑にするために、ほろ酔い程度のお酒の力を借りるシチュエーションは大人の付き合いにはつきものだ。しかし、お酒を悪用してよからぬことをたくらむ輩の罠は思わぬところにも仕掛けられている。 「相手の酒に睡眠薬や向精神薬などを混入して昏睡強盗や性加害を企てる犯罪は古くからあります。その対策として、そうした薬には酒やジュースなどに入れると青色に変色するようになっているものもあります(ただし危険な薬物の中にも色が出ないものもある)。 また、コンパに出席した大多数の女性が店を出た直後に繁華街でバタバタと倒れ込み、急性アルコール中毒で救急搬送された騒動も起こっています。これはアルコール度数が96度という『スピリタス』という強い酒を薬剤用カプセルに入れた『スピリタスカプセル』を何者かがこっそり女性らのグラスに入れるという手口が使われたのでは、と言われています。スピリタスは透明な酒なので、混入されても気づきにくいので、さらに注意が必要です。 トイレなどで席を立って戻ったら、先ほどとお酒の色や量、グラスの位置がどこか違うように感じたら、絶対その酒には手を付けないで。これは大人数のコンパでも、1対1のデートでも鉄則です。自分のグラスに異物を混入されることを避けるため、飲み会の席で席を外す場合、自分のグラスは飲み干すのを習慣にするとよいでしょう。僕の知り合いはトイレに行く際、「潔癖症」を理由にコースターでグラスに蓋をするという方もいます。やましい気持ちがなければ相手は不快に思わないでしょうし、警戒していることを相手に知らせる方法としては賢いやり方だと思いました。 そして、少しでも「怪しいな」と感じたら、堂々と『氷で薄まっちゃったから』と新たなお酒を頼むなり『ちょっと飲みすぎたから』と自分でジュースや水を頼みましょう。『残りを飲んでから次頼めば? 』と言われたら『私の代わりに飲んでくれる? 』とニッコリ。相手が飲み代を支払ってくれるとしても臆する必要はないです。お酒をたしなむ大人(とくに女性)なら、そうした自分を守る強さも必要不可欠だと心得てもらえればと思います」(かなえ先生) 酒によるトラブルは女性に限った話ではない。マッチングアプリで出会った初対面の女性に「いい店を知っているから」と連れていかれた先がボッタクリの店ということも珍しくない。2人で2,3杯飲んだだけで、数十万円の料金を要求され、支払いを拒否すると、周囲には強面の男が……。手持ちがないといっても、カード決済を強要されたり近くのATMに連行されて現金を下ろしてでも会計させられる。断固拒否すれば当然、ボコボコに。警察に通報しても「民事不介入」となり泣き寝入りのケースも少なくない。 「女性同様、酒のグラスに薬物や強い酒を足されて泥酔、昏倒し、気が付けば財布や身分証明書、貴重品などを身ぐるみはがされて道端に捨てられていた、という事件は珍しくありません。相手の女性以外に共犯男性が複数人いたり、店員や店自体がグルだったという可能性も考えられます。 素性のわからない相手と初めて飲むときは、シティホテルのラウンジバーなどを利用する、もっと手軽にと思うなら、全国チェーンの居酒屋などを使う。『飲み放題だから』『安い店知ってる』などと連れていかれた先が、繁華街の雑居ビルの上階で、エレベーターの扉が開いたらすぐ店内、などという場合、逃げようがありませんから」(かなえ先生)
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